ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第16回
75.0%が転職経験あり!美容サロンスタッフの転職活動の実態を公開。
どのくらいで転職は決まる?探し方は?
ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容サロンの各ジャンルの調査を発表しています。今回は2024年4月に発表した「美容サロン就業実態調査2024」から美容サロン(ヘア、ネイル、エステ、アイ、リラクいずれかのサロン)の就業者についての調査から「転職」について解説します!転職が多いと言われる美容業界。業界内転職の実態に迫ります。
文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
1. 75.0%が美容業界内での転職経験あり
2. 転職活動期間は二極化
3. 転職先の探し方は?
4. 転職したいちばんの理由は?
5. 転職意向は半数以上に!
1. 75.0%が美容業界内での転職経験あり
現役の美容サロン就労者に、「美容業界内で転職した経験」を聞いたところ、75.0%が少なくとも1回以上の転職を経験していました。
日本の転職経験率は40.6%(Indeed調査、2023年、20~50代・正規雇用者)というデータもあります。もちろん同じ条件の調査ではありませんが、美容業界の転職は平均よりも高いといえるでしょう。
それはつまり、求人のニーズが高いサロンにとっては多くのチャンスがあるということです。
2. 転職活動期間は二極化
転職者の実態を見ていきましょう。転職活動を開始してから実際にかかった期間は、「1か月未満」の短期と「3年以上」の長期とに二極化した結果に。
条件等の一致ですぐに決まるケースもありますが、転職しようとは思ったものの、「なんとなく」条件を横目で見ながら様子を見る、そんなケースもありそうですね。
求職者が自分で条件にあうサロンを見つけられるとは限りませんので、サロン側から求職者へアプローチすることが重要になってきます。
なお、2024年5月13日にHOT PEPPER Beauty WORKから「スカウト機能 」がリリースされました。こちらを効果的に活用することで、「欲しい人材」に直接アプローチできる可能性も高まるでしょう!
※「スカウト機能」の活用法はこちら でご覧いただけます(無料の会員登録が必要)
3. 転職先の探し方は?
転職の際にはどんな情報を参考にしたのでしょうか?同職種内で転職した人のデータを見ていきましょう。
最も多いのが「親や知人からの紹介」(27.5%)、「ハローワーク」(24.3%)、「各サロンのホームページ」(21.6%)です。
一方、「美容系専門の求人サイト」(20.9%)や、「美容サロン検索サイト(ホットペッパービューティーなど)」(18.2%)といったネット検索にも注目しています。求人サイトやサロン検索サイトは、多くのサロンと横比較して、「自分にあうサロンはどんなところか?」を深く調べることができます。
事前に情報をしっかり調べて求職者が納得した状態で入社することで、入社後に「サロンとあわない」と退職するようなケースも防ぐことができるのではないでしょうか。
4. 転職したいちばんの理由は?
転職の理由のトップ3を見ていきましょう。
1位は「人間関係」です。「上司と考え方や意見が合わなかったから」「働いているスタッフの人柄が良くない・自分とは合わなかったから」などがあげられます。
サロンの強みやオーナーの考え方、スタッフの人柄などを求人サイトやSNS等ネットで継続的に伝えられると良さそうですね。
2位は「労働環境」。「休みが少ない、労働時間が長い」、「仕事とプライベートの両立が難しいと感じたから」などがあげられます。特に昨今は生産性が重視されており、限られた労働時間をいかに効果的に使うことができるのか?が重要視されています。例えばSALON BOARD(HOT PEPPER Beautyの予約・顧客管理システム)の積極活用によって生産性が劇的に改善したサロンなどもあります。(こちら )
3位は同率で「給与不満」と「仕事内容・方針」。生産性を徹底的にあげることによって、給与アップにつなげたサロンの事例もありますのでぜひご参考にしてください。(こちら )
「仕事内容・方針」では、「仕事内容がハードだったから」や「やりがいを感じられなくなったから」といったネガティブなものもある一方で、「別の場所でキャリアを積みたいから」といったポジティブな理由も存在しています。
5. 転職意向は半数以上に!
今後の転職意向を聞いたところ、転職意向のある人は、
「現在転職を希望しており、転職活動をしている」(15.1%)
「現在転職を希望しているが、転職活動はしていない」(15.6%)
「いずれ転職をしたいと思っている」(22.8%)
を合計して53.5%と全体の半数以上を占める結果に。
転職者のマーケットは今後もまだまだ広がりそうです。サロンの安定的な人材確保は、今いるスタッフの離職を減らすことと、採用(新卒・経験者)の成功です。転職は早く終わる人もいる一方で、長期化する人もいます。このため求人サイト等を利用した継続的な情報発信が大切になってくるでしょう。
●データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー
「美容サロン就業実態調査」( 2024年4月)
調査期間:2024年1月~2月
調査対象:美容サロン従事者 2,899 人回収(美容師:1,135人/ネイリスト:215人/エステティシャン:560人/ リラクゼーションセラピスト:846人/まつげエクステスタッフ:143人)
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)